
はじめに
近年、「蛍光灯が製造中止になる」というニュースが多く報道されており、ご家庭でも「次はどうすればいいの?」と戸惑う方が増えています。これまで一般家庭やオフィス、店舗など幅広く使われてきた蛍光灯ですが、時代の流れとともに省エネ性や環境配慮が求められるようになり、LED照明へと移行する動きが加速しています。本記事では、蛍光灯の製造中止に関する背景を分かりやすく整理し、自分でできるLED交換の方法、工事が必要なケース、プロへの依頼の際のポイント、さらには今後DIYで対応するための電気工事士資格の取得方法についても詳しく解説していきます。
1. 蛍光灯が製造中止になる理由とは?
蛍光灯が製造中止になる大きな要因は、環境負荷の高い「水銀」を使用していることにあります。水銀は人体や自然環境にとって有害であり、国際的にもその使用を段階的に廃止する方向が進んでいます。日本国内でも2027年を目処に、水銀を含む直管型蛍光灯の製造と輸入が禁止される見込みとなっています。
これにより、新品の蛍光灯の供給が徐々に減っていき、既存の在庫品や流通在庫が枯渇すれば、LED照明への置き換えが不可避となるのです。これは単なる「電球の交換」の問題にとどまらず、住宅や事業所における照明環境の見直しが迫られているという意味でもあります。
パナソニックによる蛍光灯生産終了の発表
パナソニックは2017年10月のプレスリリースにて、「新成長戦略」や「エネルギー基本計画」に基づき、2019年3月末をもって蛍光灯照明器具の生産を終了すると発表しました。
これにより、1952年から続いた蛍光灯照明器具の生産が67年の歴史に幕を下ろすこととなりました。
今後は高効率で省エネ性に優れたLED照明器具への移行が推進されるとしています。
出典:パナソニック公式発表(PDF)。
2. 蛍光灯ユーザーはどうするべき?
蛍光灯器具を使用している場合、以下の3つの対応策を検討することができます:
- LED蛍光灯へのランプ交換:照明器具をそのまま使いつつ、蛍光灯部分だけをLED対応品に交換する方法。
- 器具ごとLED照明に取り替える:ランプだけでなく照明器具そのものを最新のLEDタイプに交換。
- 電気工事士に依頼して内部配線を調整:器具の仕様がLED非対応であったり、配線を変更する必要がある場合。
まず大切なのは、自宅やオフィスで使っている照明器具のタイプを把握することです。グロー式・ラピッド式・インバーター式など種類によって対応方法が変わってきます。
3. 自分でLEDに交換できる場合とできない場合
実際のLED蛍光灯ダウンライト交換作業の流れを、以下の写真付きで解説します。これから紹介する写真は、実際に行った交換作業の様子を撮影したものです。
写真を交えながら確認することで、作業のイメージがつかみやすくなります。照明器具の種類や構造を把握しながら、交換のポイントをしっかり押さえましょう。
ダウンライト蛍光灯交換方法
※作業の際は必ずブレーカーをオフにして、安全を確保してから行ってください。
ブレーカーをOFFにします。
こちらが今回交換するダウンライトです。
電球のように見えますがこちらはコンパクト型蛍光ランプというタイプの蛍光灯です。
Panasonicさんのホームページにしっかり製造終了ということで掲載されていました。
ランプを15°くらいひねると抜けます。
ランプが抜けたら内側のカバーのようなものを抜きますが指圧しながら真下に引くイメージです。
中の構造が見えました。
蛍光灯は内部で色々電気を処理して安定的に光っているので部材が多めですが一体になっている為心配無用です。
突っ張りの金具を起こすと上に金具をスライドできるので2箇所押し上げます。
少し硬いかもしれませんが慎重に上に押し上げて天井の埋め込み穴を通過できるように金具を調整します。
今回の器具が内部でL字のようになっていましたがすんなり抜けました。
配線が複数見えますが大丈夫です。あと少しです。
こちらの白、黒の配線を引き抜きます。配線の中央にマイナスドライバーのようなもので押し込みできるところがあるので押し込みながら配線を引き抜きます。
電源と送りと書いてありますがダウンライトだと一つの回路に電灯が他にも複数あるかと思います。送りというのは別の器具に電気を送るという意味の配線です。こちらがつながっているということは他の器具に接続されているということになります。
4本全部外します。
LED電球が取り付けれるタイプの器具に差し替えます。
配線は押し込むと固定されるので抜いた配線を差し替えます。
Nという表記の方に白を差し込むというルールがあります。
新たに用意した器具は両端の金属の羽のようなものが天井裏で広がって突っ張るという形なので折りたたんで天井に押し込みます。
ピッタリ天井と設置しています。
取り外す時は突っ張っているだけなので引っ張ると取れますが結構しっかりしているので硬いかもしれません。
この作業は第二種電気工事士資格が必要になる為必ず有資格者が行いましょう。
交換可能な例
- グローランプ式(スターター式):グロー球を外し、対応する直管LEDランプを取り付けるだけで使える製品があります。
- 工具や電気知識がほとんど不要な製品も市販されており、DIYに不慣れな方でも対応可能。
交換不可・注意が必要な例
- インバーター式・ラピッドスタート式:内部の電子回路や安定器の影響でLEDランプが正常に点灯しない場合があり、配線工事が必要となる。
- 誤った取り付けは火災や感電のリスクがあるため、電気工事士の資格が求められます。
4. 電気工事士に依頼する場合の相場とメリット
電気工事が必要な場合や高所での作業になるケースでは、無理をせずに専門の業者に依頼するのが安全です。
- 費用の目安
- 照明1箇所のLED交換工事:5,000円〜15,000円
- 天井が高い場所や特殊な照明器具の場合、さらに追加費用が発生
- 依頼するメリット
- 安全で確実な施工が可能
- 不具合が起きた場合でも保証がある
- 見た目の仕上がりも美しい
見積もり無料の業者も多くあるため、まずは相談してみるのも良いでしょう。
5. 電気工事士の資格を取るという選択肢
今後、自宅や所有物件の電気工事を自分で行いたい場合、「第二種電気工事士」の資格取得は非常に有効な選択肢です。
第二種電気工事士とは?
- 一般住宅や小規模施設での電気工事を行うための国家資格
- コンセントの増設、照明器具の交換、配線変更などが合法的に行えるようになります
資格取得までのステップ
- 筆記試験
- 電気理論、機器、法令、配線図など
- マークシート形式で50問、60%以上の正解で合格
- 技能試験
- 支給された材料と課題に基づき、電気配線を制限時間内に完成させる
- 安全性、正確性、作業手順などが評価される
試験スケジュールと費用
- 年2回(上期:5月〜、下期:10月〜)
- 受験料は筆記+技能あわせて約9,300円
- 教材費:2,000〜5,000円
- 工具・練習用材料費:8,000〜15,000円
独学でのおすすめ勉強方法
- 過去問を繰り返し解くことが合格への最短ルート
- 特に「鑑別問題」は最初に取り組むのがおすすめ
- 写真や器具の特徴を覚えることで他の問題にも応用が効く
鑑別問題は「写真の工具は何に使うものですか?」などの問題なのでその工具がわかると回答できるので計算問題よりも点を取りやすいです。
私自身独学で試験に合格しましたが過去問は全く同じ問題がでたりするので過去問を中心に勉強するのは本当におすすめです。
- 技能試験対策には動画が有効
- HOZAN(ホーザン)社のYouTubeチャンネル「電工試験の虎」がおすすめ
- 候補問題13問をフル解説しており、複線図から施工手順、完成形までを確認可能
- スマホアプリでも過去問と動画解説が利用可能
技能試験で使用する工具について
技能試験では以下のような工具が使用されます。事前に慣れておくことが合格への近道です。
- ペンチ(プライヤ)
- 電工ナイフ
- ワイヤーストリッパー
- ドライバー(+/−)
- スケール(メジャー)
- 圧着工具(リングスリーブ用)
- VVFストリッパー(あると便利)
これらはセット販売もされており、HOZANなどから技能試験対応キットも販売されています。
合格後のメリット
- 自分で照明器具やコンセントを合法的に交換できる
- DIYの自由度が上がる
- 工事費の節約に
- 転職・副業にも活かせる資格として人気
6. まとめ
蛍光灯の製造終了により、今後LED照明への切り替えは避けられません。自宅の照明がどのタイプなのかを把握し、LED交換が可能か、工事が必要かを判断することが第一歩です。
自分で対応できる場合はコストを抑えて交換が可能ですし、難しい場合は専門業者への依頼を検討しましょう。さらに、今後のために電気工事士の資格を取得するという選択肢も、長い目で見て非常にメリットがあります。